▲9六歩型ひねり飛車


▲9六歩に△1四歩は後手危険




ここからは、▲9六歩に対し後手が△1四歩と受けた場合を調べる。
まずは、ひねり飛車の典型的な成功例を見ていただこう。

手順中、▲9七角に対して、飛車を成り込めないのは、丸田流の手筋で解説したとおり
である。忘れてしまった人はこちら

終始アグレッシブに指していくのが好きな人に向いている指し方かなと思うのだが
いかがだろうか。

結果図からはゆっくり指して先手は勝てると思われる。




後手の工夫 △9四歩




さて、▲9六歩に△1四歩は後手がマズいことがわかった。
では、△1四歩ではなく、△9四歩と応じる変化はどうだろうか?
実は、この△9四歩は何気ないように見えて、読みの入った一着なのである。

先手はいつもどおり、▲9七角と誘うが、後手は9筋の歩を突き捨て、敢然と飛車を成り込む。
待ってましたとばかりに、▲8八角と蓋をするも、△9八歩が絶妙の切り返しで、
これは後手がよい。

なお、△9八歩▲同香の交換を入れてから飛車を成り込むという手順もあろう。

ところで、この手順中、▲8八角と蓋をするのではなく、攻め合いに出たらどうなるだろうか?

次項では攻め合う変化を検討することとしよう。


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後手の工夫 △9四歩 【攻め合う場合】




前項に引き続き、▲9六歩に、後手が△9四歩と応じた場合の変化を検討する。

前項では、▲8八角と蓋をする手がどうもマズいらしいということがわかった。
では、▲8八角ではなく、▲8六飛と飛車をぶつけ、攻め合う変化はどうなるだろうか?

飛車交換は後手はつまらない。したがって、△9九竜は当然。先手は角取りを防ぐべく
▲8八銀もやむを得ない一手。
そこで、△8九竜▲7九金の交換を入れてから、△9八竜と逃げておくのが細かいながら
読みの入った手で、後手の竜が間接的に先手玉を睨むことになった。
これでは、先手は強い戦いができない。

先手は、▲8三歩からと金攻めを試みるも、ちょっと遅い感じである。
△9六歩▲同飛と利かしてから、△3四歩とこのタイミングで角道を開けるのが絶妙。
桂馬をそのまま、むしり取られてはたまらないので、▲7八金はやむを得ない受け。
しかし、後手はかまわず△7七角成りと桂馬をむしりとって、▲7七同金に△8五桂が厳しい。

▲9六歩に、後手が△9四歩と応じた場合は、竜の閉じ込めを狙っても、攻め合っても先手が
芳しくなかった。

では、▲9六歩型のひねり飛車は、後手に△9四歩と応じられると成立しないのであろうか?

次項では、もう少し先手の対抗策を模索することにする。

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▲9五同歩と取らない変化




前項に引き続き、▲9六歩に、後手が△9四歩と応じた場合の変化を検討する。

これまでの検討では、後手良しの変化ばかりだったが、先手に悪手はなかったのであろうか?

そこで、本項ではもう少し踏み込んで考察を加える。
具体的には、△9五歩に▲同歩と応じる手の是非について考えることとする。

本譜は、△9五歩に対し、手抜いて攻め合う変化である。
先手は▲7四歩から無理やり手を作る。
後手としては、△9六歩と角取りに突き出すのは当然の一手。
それに対して先手は、▲6四角と逃げながら後手の飛車のコビンを狙う。
後手は冷静に△6三歩と催促。

これに対し、先手は、▲8六飛と飛車をぶつけてさばきにいくのが素晴らしすぎる一着。
後手としては飛車をさばかれるのは不満であるから、△8五歩はこの一手。
そこで先手も飛車を逃げずに▲7三角成りからと金を作り、飛車を取りあう展開になる。

結果図は形勢不明といっていいだろう。

しかしながら、どうしても先手良しの変化が得られなかったことは、返す返すも残念で、
先手はさらなる工夫を模索する必要に迫られることになった。


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新しい後手の対策




前項まで、▲9六歩に、後手が△9四歩と応じた場合の変化を検討してきたが、
ひねり飛車に対して、後手も十分やれるということがわかった。

もっとも、後手のひねり飛車対策は、それだけではない。
▲9六歩に、△9四歩ではなく、△6四歩とする変化も
有力なので、ここで検討しておく。

後手は金美濃を目指し、先手も攻撃態勢を整える。

▲5六銀と出るのは、▲6五歩の仕掛けを狙いつつ、場合によっては▲4五銀と
角頭を攻める味も見せた手だ。
△4四歩は角頭攻めを防いだ手で、当然の一手。

先手は予定通り、▲6五歩から仕掛けるが、案外パッとしない。
先手はもう少し工夫が必要のようだ。



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じっくり組み合う展開




前項では、▲9六歩に、△9四歩ではなく、△6四歩とした場合において、
積極的に▲5六銀から仕掛けた場合の変化を検討した。

先手としては自然な手を重ねたように思えたが、局面は良く出来なかった。
では、▲5六銀のところで、▲5八銀と固めるのはどうか?

じっくりした戦いに持ち込んだ場合を検討することとしよう。
手の流れはフラッシュ盤を見ていただくこととして、結果図はどうだろうか。

形勢は互角と思うが、先手としてはもう少し主導権を握れないと面白くないだろう。

このように、後手の対策が進むにつれ、▲9六歩型のひねり飛車は先手の利を活かしにくい
と考えられるようになり、徐々にすたれていった。



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VS△4二玉型




△6二銀型は急戦に対応しづらいことから、現代では△7二銀型が主流である。

そのことを前提に、現代型のひねり飛車の形を分類すると、
大きく分けて、先手が、▲9六歩~▲8六飛と、豪快に飛車をぶつけて飛車交換を迫る指し方と、
▲1六歩~▲8五歩と打って、じっくりと作戦勝ちを狙う指し方と2通りに分けられる。

便宜上、前者を▲9六歩型、後者を▲1六歩型と分類することにする。

▲9六歩型は、後手の応手によって、さらに、①△3四歩型(△3三金型)、②△1四歩型、③△9四歩型、④△6四歩型に分けられる。
▲1六歩型も、後手の応手によってさらに細分化できるが、これについてはコチラで後述する。
まずは、△3四歩型(△3三金型)から調べていこう。

この形は、▲9六歩に対し△1四歩ではなく、△3四歩と突くことにより生じる。
すなわち、△3四歩の瞬間に▲3六飛と回られることにより、後手は歩を守るため、
△3三金と上がらざるを得ないのである。

△4二玉は△4一玉もあるところで、ひとつの分岐点だ。
結論から言えば、△4一玉の方が良いのであるが、まずは、△4二玉型から調べていこう。

▲9七角に対し、すぐに△8九飛成りは、▲8八角で後手がまずい。
しかしながら、△6三銀などでは、のんびり過ぎで、後手としては防戦一方の展開になってしまう。

そこで、▲9七角には強く△9五歩と攻め合うのが後手としては最善だろう。
△9五歩に対し、先手は▲同歩と応じることはできない。

なぜならば、△8九飛成▲8八角△9八歩があるからだ。

したがって、▲7四歩と突っかける。
激しい応酬が続くが△7七歩は▲6八金とヨロけておいて、なんとかしのいでいる。
△9六歩の角取りに▲8六飛のぶっつけが絶妙で、この攻め合いは先手が勝つ。

どうも△4二玉がマズいらしいということがわかった。

次項では、△4二玉ではなく△4一玉とした場合の変化を調べることとする。




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VS△4一玉型




では、早速△4一玉型を調べてみることにしよう。

△4一玉は、次に△4二銀~△3二玉を狙った手で、
囲いを先行させようとの意図に基づく。

先手はいつも通り、▲9七角から▲8六飛を狙うのだが、
後手は、▲9七角の瞬間に△9五歩と突っかける。

先手はこの歩を取れないのは前項で示したとおり。
かといって、後手は△6四歩型ではないので、▲6四角と出ることができない。

やむなく、▲8六飛とぶつけることになるが、ここで後手の△8五歩が先手を取る好手。
飛車を逃げると△9六歩が厳しすぎるため、先手は▲8五同飛と飛車交換に応じるしかない。

8五の地点の清算が行われた後の△9六歩は当然とはいえ、厳しい。
▲8六角と出るなら、すかさず△8四飛と打たれ、桂馬が取られてしまう。

そこでやむなく▲8八角だが、9筋の清算から、むかえた結果図は後手の方が良いだろう。
少なくとも、ひねり飛車側が守勢に立たされているのでは、先手としては、全くもって不満な展開というべきである。

では、△4一玉型に対しては何か対策はないのであろうか?

次項でもう少し掘り下げてみる。



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VS△4一玉型【▲8五歩と止める変化】




さて、△4一玉型においては、普通に攻め合った場合に、
ひねり飛車側が防戦一方となる不本意な展開となった。

では、攻め合いに持ち込まず、少し局面を納めてみてはどうなるか?

そこで、▲9七角を保留して、▲8五歩と打つ構想が生まれた。
先手としては、あまり打ちたくない歩ではあるが、後手の△3三金は部分的に
ひどい悪形である。ゆえに、駒組み合戦はどちらかというと後手のほうが気苦労が多い。

△4四歩は△4三金とするための手。これに替えて△4四金のタコ金もあるところだが、
タコ金に対しては、▲5六銀で先手も十分戦える。

いずれにせよ、先手は▲6五歩から仕掛け、後手はそれを受けるという展開になる。
結果図は先手の作戦勝ちであろう。後手の陣形は薄く、防戦一方といった感じが否めない。

以上、△3三金型について調べてきたが、△3三金型は、後手が受け一方の展開になりやすい。
ゆえに、徐々にこの形はすたれていくことになった。


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